減価償却とは

不動産投資における減価償却とは、不動産の建物や附属設備を購入した際に、毎年価値を減らしてその分経費計上できる制度のことです。

例えば、1000万円の中古マンションを購入した場合、購入した年に1000万円を全て経費として計上することはできません。建物や附属設備には、用途や構造により法定耐用年数が決められており、新築の住居用途建物の場合、RC造(鉄筋コンクリート造)は47年、木造建造物は22年、鉄骨造は34年かけて分割して毎年経費計上を行います。また建物附属設備については、給水設備は15年、エレベータは17年、消化設備は8年、のように細かく決められています。

減価償却法には、定額法定率法の2種類があります。建物は定額法で減価償却し、附属設備については通常定率法で減価償却します。なお、物件価格のうち、土地に関連する部分は減価償却を行うことができません(原則、土地は源減価しない=価値が下がらないため、帳簿上は、常に購入時の価格を帳簿価格として掲載され続けます)。

例えば、1000万円の中古マンションを購入した場合、建物が500万円、附属設備が200万円、土地が300万円とすると、建物と附属設備分の700万円について毎年減価償却します。土地代については減価償却対象外となります。建物の耐用年数を20年、附属設備の耐用変数を10年とすると、建物については、500万円について20年に渡り毎年定額で減価償却していきます。

(新)定額法と(新)定率法の具体的計算例

平成19年4月1日以降に取得した固定資産については、耐用年数期間で取得価額の100%まで償却できます。平成19年3月31日以前に取得した固定資産については、耐用年数期間で90%まで償却できます。不動産投資JPでは平成19年3月31日の償却方法を、旧定額法、旧定率法と呼びます。平成19年4月1日以降の償却方法については、新定額法、新定率法と呼ぶこともあります。下記では具体的に、取得価額が500万円で、耐用年数が5年の減価償却資産についての償却費の計算方法について示します。

平成19年4月1日以降に取得した固定資産の具体的減価償却計算例

  (新)定額法 (新)定率法
耐用年数 5年 5年
償却率 0.2 0.5
1年目の償却費 1,000,000円(=5,000,000×0.2)
未償却残高(期末残高)=
5,000,000-1,000,000=4,000,000
2,500,000円(=5,000,000×0.5)
未償却残高(期末残高)=
5,000,000-2,500,000=2,500,000
2年目の償却費 1,000,000円(=5,000,000×0.2)
未償却残高(期末残高)=
4,000,000-1,000,000=3,000,000
1,250,000円(=期首残高×0.5)
未償却残高(期末残高)=
2,500,000-1,250,000=1,250,000
3年目の償却費 1,000,000円(=5,000,000×0.2)
未償却残高(期末残高)=
3,000,000-1,000,000=2,000,000
416,667円(=1,250,000×0.333)
未償却残高(期末残高)=
1,250,000-416,667=833,333
4年目の償却費 1,000,000円(=5,000,000×0.2)
未償却残高(期末残高)=
2,000,000-1,000,000=1,000,000
416,667円(=1,250,000×0.333)
未償却残高(期末残高)=
833,333-416,667=416,666
5年目の償却費 999,999円(=5,000,000×0.2)
未償却残高(期末残高)=
1,000,000-999,999=1
416,665円(=1,250,000×0.333)
未償却残高(期末残高)=
416,666-416,665=1

※定率法による償却金額が「期首帳簿価額/(法定耐用年数-経過年数)」を下回るため、償却方法を定額法に切り替えて計算します。上記例では、3年目以降に定額法に切り替わります。
※最終年度においては、備忘価額1円を残して償却します。

関連情報: 法定耐用年数, 減価償却, 中古物件の耐用年数
関連リンク: 不動産投資の確定申告, 確定申告時の必要経費一覧
参考: 減価償却資産の耐用年数等に関する省令