金利リスク(金利上昇リスク)とその対策方法

不動産投資において、キャッシュフローに一番大きな影響を与えるのがローン金利です。安い金利で融資を受けられれば、キャッシュフローは大助かりですが、ローン期間中に変動金利が少し上昇しただけでキャッシュフローは悪くなります。

90年代初頭のバブル崩壊後の超低金利政策により、日本は歴史的な低金利が続いており不動産投資にとっては好条件が続いています。2006年、そして2007年と日銀公定歩合の引き上げが行われたものの、まだまだ低金利状態であると言えます。しかし、不動産投資を行う際今後20~30年にわたりローン返済を続けていくにあたり、今後もずっと低金利時代が続くとは限りません。

不動産購入時にローンを組む際は、できるだけ低金利のローンを組めるよう努力し、そして、ある程度金利が上昇したとしてもキャッシュフローが悪くならない物件を選択する必要があります。ローン金利の違いによりどれだけ返済額が変わってくるかを見ていきましょう。

1億円を金利2~5%で借りた時の毎月の返済額

  金利2% 金利2.5% 金利3% 金利3.5% 金利4% 金利4.5% 金利5%
10年返済 92万円 94.3万円 96.6万円 98.9万円 101.2万円 103.6万円 106.1万円
20年返済 50.6万円 53万円 55.5万円 58万円 60.6万円 63.3万円 66万円
30年返済 37万円 39.5万円 44.9万円 42.2万円 47.7万円 50.7万円 53.7万円

5000万円借りた場合の返済額は上記の半分、2億円借りた場合は上記の2倍、のように計算できます。上記の通り、金利が0.5~1%上昇するだけで一棟マンション投資において、空室が1室増えると同じくらいキャッシュフローが悪くなるのが分かります。その他の借入額、金利の支払い額計算はローン計算サイトで確認することができます。

金利上昇の対策方法

第一の基本は、安い金利で借りること。銀行でローンを組む際は、不動産会社の紹介を受けることにより0.1~0.5%の優遇金利を受けられる可能性があります。優遇金利を受けられるかどうか不動産会社に聞いてみましょう(そのような不動産会社と仲良くなりましょう)。また、できるだけ安いローンが組めるよう、複数銀行へ融資交渉を行いましょう。最初の金利が0.5%違うだけで、返済総額は大きく違ってきますので、金利を安くするための努力は惜しまないようにしましょう。

都市銀行、地方銀行、信用金庫、ノンバンクなどで金利が大きく異なります。一般的に、都市銀行は審査が厳しく、その代わり金利は安めの設定となっています。ノンバンク系は、審査が緩く、金利は高めとなります。

次に、ローン返済期間中に金利を下げる交渉をしましょう。変動金利でも、途中で金利を下げることができます。銀行によっては、ローン開始から1年以上経過すると、交渉により金利を下げて貰える場合があります。銀行によっては、毎年4月、9月などの決まった時期に金利見直しを行うことがあるので事前に銀行の担当者の方に聞いてみましょう。銀行内で金利を下げるためには、担当者が稟議書を書いて上司に提出し、そして上司に了承してもらう必要がありますので、より有利に交渉を進めるために、ローン返済遅延は絶対に行わないように、また、できれば賃料収入とローン返済銀行を同じにし、毎月賃料が入ってもその都度全額下ろさずできるだけ銀行の平均残高を上げる努力をしましょう。毎月可能な範囲で積み立て定期を行うのも、銀行に対して好印象を与えることができます。そうです。1億円以上の融資を受けている場合は、金利が0.5%下がるだけで、空室が1室埋まるのと同じ効果があるのです。

高い金利でローンを組んだ後、金利下げ交渉を行っても下がらない場合は、借り換えも視野に入れましょう。ただし、通常銀行ローンの借り換えを行う場合、全額一括繰上返済を行うと、ローン残高の2%前後の違約金が発生することがあります。一括繰り上げ返済を行う際の違約金については、ローン契約書をよく確認してみましょう。違約金を払っても、安く借りられる銀行に借り換えできるのなら、借り換えを検討してみましょう。いつでも借り換えを行えるように、違約金+次に借りる銀行へ支払うローン手数料分くらいの蓄えを作っておきましょう。

ある程度の余裕資金が貯まったら、繰上返済も支払い金利総額を下げるのに効果的です。返済期間の前半程、返済額のうちの金利割合が高いため、早い段階で繰上返済を行う程支払い金利削減効果が大きくなります。