地震保険

地震保険とは、火災保険では補償されない地震、津波、噴火などの自然災害の影響による損害を補償する保険のことです。通常は、火災保険のオプションの保険として申込します。地震保険のみに加入することはできません。また、不動産投資を行う際に、通常ローン契約の条件として、ローン期間中の火災保険に加入することが条件となりますが、例えば30年ローンで不動産を購入する際に火災保険は30年分一括して保険料を支払いますが、地震保険は、1年分のみを支払い、毎年の更新となります。

東日本大震災の影響で、地震保険に興味を持たれた方も多いことでしょう。筆者が所有する1棟マンションも震災の影響で一部損害を受け、今回地震保険により2棟で合計約500万円の損害金(2棟とも一部損と見なされて地震保険金額の5%相当)を受け取ることになりました。その経験から、地震保険についてお話してみたいと思います。

地震保険の保険限度額

火災保険の保険金額の最大50%、かつ5000万円以下に相当する額の範囲内で、地震保険の保険金額を定めます。複数の地震保険に加入する場合は、他の地震保険契約と合算して建物5,000万円が限度となります。マンション等の区分所有建物の場合は、各区分所有者ごとにこの限度額が適用されます。

例えば、1棟マンション購入時に、不動産価格が3億円、ローン金額が2億5000万円の場合に2億5000万円の火災保険に加入したとすると、最大5000万円の地震保険に加入することができます。

地震保険支払いのための損害算定方法

建物の主要構造部(基礎、柱、壁、屋根等)の損害により、次の3段階で損傷判定され地震保険金が支払われます。

RC造(鉄筋コンクリート造、ラーメン構造)の場合、地震保険の損害算定時には、建物のうち、RC造部分の柱と梁のみを見て損害算定します。建物全体の内、損害箇所が建物時価額の3%以上20%未満の場合は一部損と見なされて加入地震保険の5%の金額が支払われます。損害箇所が建物時価額の20%以上の50%未満場合は半壊と見なされて半壊相当の自信保険が支払われます。50%以上の場合の場合は全損と判定され、保険金額の全額が支払われます。

RC造の1棟マンションであっても、例えば階段室が鉄骨製で造られていた場合は、その鉄骨製階段室の壁や柱が損害を受けていても、地震保険の算定対象とはなりません。外壁に一部亀裂が入って雨漏りが発生していたりすると、それは、壁の中身の柱や梁を見ることができなくても、一部損傷を受けた可能性があるものとして、地震保険金額の5%が支払われる場合があります。

地震保険の経理処理、税務処理

不動産投資のおいて、保険会社に支払う(掛け捨てタイプの)保険料は、損害保険料として全額損金処理できます。

地震保険の保険金の支払いを受けた場合、修理費よりも保険金の受取額の方が多かった場合、所得と見なされるかどうか?それは、お近くの税務署におたずね下さい。

地震保険支払いの裏技

震災の影響等により雨漏りなどが発生し応急的に建物修理が必要な場合、もし、保険会社の調査員の確認前に修理を行う際は、事前に損害状況を写真で撮影しておきましょう。修理後も、その写真を見せることにより保険会社で建物の一部損と見なされて地震保険の5%が支払われることがあります。

1棟マンションの地震保険として5000万円の保険に加入していたとすると、地震保険金額の5%としても、一部損傷の場合の保険支払い額は250万円と高額なものになります。一部損傷と見なされるかどうかぎりぎりの状態の時、保険会社の方に、建物の損傷状況を確認して頂く際は、よくアピールすることにより、調査員の判断により一部損として判定されることもありますので熱烈アピールしましょう。